オオクワガタの飼い方の注意点 (成虫編)




1.基本的に必要な物

1.ペアのオオクワガタ
2.飼育ケース
3.昆虫用マット
4.木の破片(樹皮、木片等)
5.エサ皿
6.エサ(昆虫ゼリー等)
7.霧吹き等
8.コンビニ袋か新聞紙
9.産卵木


説明

1.オオクワガタは成熟したものでないと卵は産んでくれません。成熟に必要な期間は、羽化後オスは最長6ヵ月でメスは3ヵ月かかると言われています。また、成熟していても成熟した年に羽化したものは、無精卵が多く産卵数が少ないためあまり幼虫は採れないそうです。尚、オオクワガタの産卵期間はおよそ5〜9月の間です。
2.飼育ケースですが、クワガタが飛んだりした時に逃げ出せないよう蓋がカチっと閉まる物を選びます。ケースその物はコンテナや100円ショップで売っているCDケース等でもいいのですが、産卵セット用の飼育ケースはケース内に産卵木を入れてその上からマットをかぶせるのでなるべく深さのある物を使用します。普通の飼育ケースなら中ケースより大きな物を使用します。尚、オス同士が喧嘩しない様に1ケースに1ペアずつ飼います。また、メスが産卵する時はメスを産卵に専念させるためオスを別のケースに移しますので、他にもオス単独で飼育するケースが必要です。
 
最近はより観察しやすいワイドビューといったケースが売られています。
 
ホームセンターで売られている有名メーカーの太い産卵木をセットした場合の小ケースの中の様子です。タバコの箱の高さは約10cmです。小ケースだとマットと蓋までの距離が十分でないため脱走等の可能性が高くなるので注意が必要です。
 
中ケースの中の様子です。オスのクワガタが側面で立っても蓋に届かない程度の距離があります。ただ、クワガタがエサ皿に上ると蓋に届きますので、エサ皿はケースの中央に置いておきます。
3.昆虫用マットに関しては、成虫はマットを食べたりしないのであまり神経質になる必要はないようです。ただ、卵や孵化した幼虫が産卵木からはみでる事があるので、その時の事も考え、クヌギ、ナラ等の発酵マットを使用するのがいいと思います。

昆虫用マットは、ショップやホームセンターで簡単に手に入ります。目安として、中ケースで産卵セットを作る場合は約5Lのマットが必要になります。(写真の物は4.8Lです)
4.オオクワガタの場合、転倒すると(裏向けになる)とそのままでは起き上がる事が出来ませんので、起き上がるための足場になる樹皮や木片が必要です。また、オスとメスの相性が悪くて喧嘩した場合等の避難場所にもなります。
 
何もないマット上でクワガタがひっくり返ると、クワガタが起き上がれずに左の写真の様にもがき続け、やがては死んでしまいます。ちなみに樹皮は、通常、産卵木に付いている物で十分です。注意事項として、
樹皮や木片をダニ退治のために電子レンジで加熱しすぎると、樹皮や木片が発火する事がありますので気を付けて下さい。
5.エサ皿は、エサを食べる場所だけではなく交尾を行う場所にもなっています。ゼリーのカップの上部を十字に切って与え、広い厚めの樹皮を入れて置けばエサ皿は必要ないのですが、その場合、ゼリーでマットが汚れてしまう場合が多いので、やはエサ皿を使った方がいいでしょう。私の場合、オスとメスの相性が悪い場合オスとメスが個々にエサが食べられるのと、エサの交換が1つ穴より2つ穴の方が少なくなるという理由で2つ穴のエサ皿を使っています。

この製品の場合、ゼリー付きですので、ダニ退治のために電子レンジで加熱する時はゼリーは必ず取り出しましょう。
6.昔はクワカブのエサといえば砂糖水やスイカが定番でしたが、それらのエサは下痢を起こし寿命が短くなるらしいです。エサは昆虫ゼリーを与えます。バナナやりんごも良いらしいのですが、これらは逆に水分が少し足りないらしいので、他に水分を与えないといけないらしいです。(私は昆虫ゼリー以外はほとんど与えていないので、正直バナナやりんごの事はよく分かりません。)

様々なメーカーから昆虫ゼリーが売られているので、色々試してみると良いでいしょう。50個入りの袋なら、大抵250〜500円で買えます。人間が食べてしまっても大丈夫な場合が多いようですが、間違って食べてしまわない様に。
7.霧吹きはマットを加湿する時に使います。オオクワガタは乾燥に強い生き物で、マットが多少カラカラの状態でもシーズン中はエサから水分をとって生きるらしいです。しかし、マットがカラカラだとエサのやり忘れがあると水分がとれず乾燥死しますし、オオクワガタにとってマットがカラカラの状態が快適なのか分かりません。先日カラカラのマットにいるオオクワに霧吹きで水をかけると、その水をなめるといった行動をとってました。逆にマットを湿らせ過ぎた場合は、青カビが生えたり、ダニ、コバエが湧いてきます。マットはやや乾燥気味の湿らせ加減がいいと思います

霧吹きは、100円ショップで売ってる物や園芸用の物等色々な物があります。自分の気に入った物でいいと思いますが、水が多く入る物の物を選ぶと良いでしょう。私は、100円ショップで買ったものですが、それなりに使ってるいるのですが壊れる様子がありません。ただ、水を続けて出しすぎた場合、水の入っているボディがヘコんでしまいます。ちなみに、この霧吹きは、ノズルの部分を回すことによって水の飛び散り方が変わるので結構便利です。
8.昆虫マットはそのままだとすぐに乾燥してしますので、保湿のためにケースと蓋の間にコンビニ袋等や新聞紙を挟みます。コンビニ袋等は、空気を通さないので爪楊枝で穴を十数箇所開けて使います。新聞紙は1、2枚を挟んで使います。コンビニ袋等は、保湿力が高いが、夏場等は蒸れやすく爪楊枝で開けた穴からコバエが入ってくる場合があります。新聞紙は、乾燥しやすいがコバエやダニがケースに入りにくいといったカンジです。私の場合、シーズン中は新聞紙を使い、冬場はコンビニ袋等を使っています。

ご覧の様に、ケースの多きさよりやや大きめに切って蓋とケースの間に挟みます。
9.オオクワガタの場合、マットには産卵せず朽木に産卵します。その為、産卵させるには産卵木(朽木)を用意しなければなりません。産卵木選びは結構重要で、産卵木によっては産卵数が変わったり卵を全く産まないといった事があります。手に持って軽くて(朽ちている)太く、黒い部分が無い物を選んで使います。朽ちていない産卵木は、湿ったマットに長期間埋めて置くとしだいに朽ちてくるようです。

シイタケ栽培に使われたクヌギやコナラが一般的に流通していて、ペットショップ以外にホームセンター等でも簡単に購入できます。




1.セット手順

1.次に産卵木を4〜12時間、水に浸けます。

2.産卵木を水から取り出し、樹皮をむいて半日陰干しします。

3.ケースの底にマットを2cm程固く敷きます。

4.マットの上に産卵木を置きます。

5.産卵木が隠れるくらいマットを継ぎ足し、マットを平らにします。
6.マットの上に餌皿、木の破片(樹皮、木片等)を置きます。

7.最後に新聞紙をケースにかぶせながら蓋をすれば出来上がりです。



補足

1.産卵木は保存の関係上干物状態で売られています。そのまま使用すればメスは卵を生んでくれませんので、一旦水で戻す必要があります。水に浸ける産卵木の方向は縦でも横でもどちらでも構いませんが、どちらの方法でも重石を使って産卵木が完全に水に浸けるようにします。水に浸ける時間は、産卵木の種類や太さ、状態によってBestな時間があるかもしれませんが、多くの方々は4〜12時間浸けているようですので、その間なら適当でいいようです。それよりも、産卵木選びの方が重要だと私は思います。
2.メスが産卵木をカジりやすくするため樹皮を剥いておき、余分な水分を落とすために半日陰干しします。尚、この時に剥いた樹皮は、クワガタが転倒から起き上がるための足場にするために捨てずに保存しておきます。。
3.メスがケースの底からでも産卵木をカジれる様にこうしておきますので、2cm以上でも別に構いません。
4.産卵木を入れる向きは適当でいいのですが、産卵木とケース、産卵木同士の間はメスが入れる距離は開けておきます。この時に、産卵木を入れる数が多いほど産卵数が増えます。また、産卵木にドリルで数箇所穴を開けておくとメスが産卵木をカジるきっかけになりメスが産卵しやすくなります。
5.産卵木がマットからはみ出ても構いませんが、それだとエサ皿が不安定になりますのでエサ皿を使うなら、産卵木が隠れるまでマットを入れて平らにしておきます。この時に、ケースと蓋までに十分な距離が取れないと脱走の可能性がありますので、産卵木を細い物に交換したり、4.の作業を省いて産卵木をそのままケースに置いたりしてケースと蓋までに十分な距離が取れるようにします。頻繁に様子を見れば良い様に思えますが、産卵時はメスに余分な刺激を与えるとメスは産卵を止めてしまいますので、なるべくならケースと蓋までに十分な距離を取ります。

小ケースで産卵セットを作った物です。クワガタの顎で新聞紙が破かれました。この穴から脱走したり、オスクワガタの顎が蓋に刺さったり、コバエが侵入したりします。私の場合は、ちょくちょくケースの点検をしますので、それ程大事には至っていません。
6.エサ皿は脱走の足場になりますのでなるべくケースの中央に置きます。樹皮や木片は大き目の物をまんべく置きます。クワガタはケースの四隅でよく転倒するので、ケースの四隅は特に重い樹皮や木片を置いておきます。
7.コンビニ袋等や新聞紙をケースと蓋の間に挟みつつ蓋を閉めれば産卵セットの完成です。




産卵セットにクワガタを入れるタイミングについて

クワガタを産卵セットに入れるタイミングですが
1.最初に別ケースでクワガタのペアを飼い、ハンドペアリングを行う等交尾を確認した後にメスだけを産卵セットに入れる方法
2.最初から産卵セットでクワガタのペアを飼い、メスが産卵を始めた(産卵木をカジりだした)時にオスをだけを取り出す方法
等があります。
1.の方法の方がトラブルがなくていいのですが、クワガタは主に夜に活動するため交尾は簡単に確認出来ません。2.の方法だと、交尾を確認せずにほったらかしでいいのですが、メスが産卵木をカジりだした時、オスがメスの産卵の邪魔になって産卵に専念できないといった欠点があります。
私の場合、2.の方法を行い、6月に頃合を見て全てのペアのオスを別ケースに移すようにしています。

メスが産卵している時は、コツコツやバキバキといった音がします。また、産卵木の周囲にマットと色の違う木屑がでる事があります。

せっかくメスがカジった産卵木の隙間でオスが休んでいます。産卵中はオスは邪魔にしかなりません。

尚、メスが産卵を始めた3〜4週間後に、メスクワガタと産卵木を別々にし、メスクワガタには動物性たんぱく質入りの高タンパク高カロリーの栄養価の高いゼリーを与えて体力を回復させさせ、卵は水分を吸収して孵化しますので産卵木は湿ったマットに埋める等して水分がとばないように保管します。そのまま、同じケースに入れておくと、メスクワガタが卵を踏み潰したり動物性タンパク質を摂取するため生まれた幼虫を食べてしまいます。




最後に。

オオクワガタの産卵で重要なのは、産卵木選びと産卵中のクワガタを刺激しない事だと思います。